深夜業の健康診断とは?特定業務従事者の意味や健診の流れ、実務の注意点を解説

夜勤シフトのある職場や、深夜残業が常態化している従業員を抱える企業では、「深夜業の健康診断」の実施が義務付けられています。しかし、定期健康診断とは異なるルールもあるため、人事担当者が迷うポイントも少なくないでしょう。

この記事では、深夜業の健康診断について、対象者の判断基準や実施頻度、診断項目といった基礎知識から、実施方法と流れ、企業が押さえておきたい注意点まで網羅的に解説します。

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1.深夜業(特定業務従事者)の健康診断とは

「深夜業の健康診断」とは、午後10時から午前5時までの時間帯に行う深夜業に常時従事する労働者を対象とした健康診断です。正式には、労働安全衛生規則第13条第1項第3号に定められている「特定業務従事者の健康診断」の一種として位置づけられています。

深夜業の健康診断で対象となるのは、夜勤専従者や交代制勤務者だけではありません。通常は日勤の労働者であっても、深夜残業が継続的に発生している場合は対象となる可能性があります。「自社は夜勤がないから関係ない」と思い込まず、深夜時間帯の労働実態をきちんと確認することが重要です。

1-1 実施義務と罰則

深夜業に常時従事する労働者がいる場合、事業者は労働安全衛生法第66条に基づき、「特定業務従事者の健康診断」を実施する義務を負います。これは事業規模を問わず適用されるため、従業員数が少なくても対象者がいれば実施が必要です。

実施を怠った場合、労働安全衛生法違反となり、50万円以下の罰金が科される可能性があります。また、単に罰則があるからではなく、深夜業は身体への負担が大きい勤務形態です。健康診断を行わず、体調悪化や過重労働を見逃してしまうと、安全配慮義務違反につながるリスクもあります。

健康診断には深夜業健診以外にもさまざまな種類があり、事業場の規模によって必要となる対応も異なります。健康診断の種類や企業義務については、以下の記事もあわせて参考にしてください。

関連記事:『【企業の義務】健康診断の種類を一覧でチェック!診断項目や費用・注意点を解説

関連記事:『【50人以上の事業場】安衛法や労基法にもとづく会社の義務を紹介!

1-2 雇入れ健康診断や定期健康診断との違い

雇入れ時健康診断は採用直後に1回、定期健康診断は全労働者を対象に1年以内ごとに1回実施するものです。これに対し、深夜業の健康診断は深夜業に常時従事する労働者に限定して、6ヶ月以内ごとに1回実施する点が大きな違いです。

健診項目は定期健康診断と基本的に同じですが、実施頻度が倍になるため、年間スケジュールの組み方や対象者の管理方法が変わってきます。定期健康診断とは別管理が必要だと理解しておきましょう。

「雇入れ時健康診断はいつまでに必要?」「新卒と中途で対応が異なるの?」など、雇入れ時健診の基本を確認したい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:『【産業医監修】雇入れ時健康診断とは?受診時期や費用負担・実施の流れを解説

1-3 特殊健康診断との違い

特殊健康診断は、粉じん・有機溶剤・鉛・石綿など、特定の有害業務に従事する労働者を対象とした健康診断です。特定業務従事者の健康診断は、一般健康診断の一種と位置づけられており、特殊健康診断とは別物です。

名前が似ているため混同されやすいですが、一般健康診断は労働安全衛生規則第43条~第47条、特殊健康診断は労働安全衛生法第66条第2項~第3項と、根拠条文も異なります。有害物質や有害環境への曝露リスクを評価するのが特殊健康診断、深夜業など特定業務による健康影響を評価するのが特定業務従事者の健康診断と覚えておくと区別しやすいでしょう。

2.深夜業の健康診断を行う目的

深夜業では、昼夜逆転による睡眠障害や生活習慣の乱れが起こりやすく、疲労が蓄積しやすい傾向があります。そのため、健康状態を定期的に確認し、早期に異常を発見することが重要です。また、長時間労働や過重労働による健康障害を見逃さず、必要に応じて就業上の措置や保健指導につなげる目的もあります。

厚生労働省や労働者健康安全機構の資料においても、夜勤や交代制勤務は、睡眠障害や生活習慣の変化などを招き、これらが相互に影響しあうことで、神経・免疫機能の低下や判断力の低下などの心身の不調に関連すると指摘されています。

深夜業従事者の健康リスクは決して軽視できるものではありません。そのため、通常の定期健康診断よりも高い頻度で健康状態を確認する仕組みには、一定の合理性があるといえるでしょう。

出典:『夜勤・交替制勤務』RECORDs 過労死等防止調査研究センター

関連記事:『健康診断の事後措置とは?労働安全衛生法に基づく義務や健康診断実施後の流れを解説

関連記事:『【産業医監修】産業保健師とは?役割や導入メリット・仕事内容を解説

3.深夜業の健康診断の対象者

深夜業の健康診断の対象者は、雇用形態ではなく勤務実態で判断されます。正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用区分にかかわらず、午後10時から午前5時までの深夜業に常時従事しているかどうかが判断基準です。なお、派遣労働者については派遣元事業者が実施義務を負います。

一方、業務委託契約の個人事業主は、労働者ではないため対象外です。ただし、勤務時間や業務遂行方法について企業の指揮命令を受けているなど、実態として雇用に近い働き方をしている場合は、労働者性そのものが問題になる可能性があります。健康診断の対象判断だけでなく、適切な雇用管理も含めて確認しておきましょう。

3-1 月4回以上の深夜業が対象者判断の目安になる

行政通達(昭和23年10月1日基発第1456号)では、常時従事の判断基準として、「深夜業を1週1回以上または1月に4回以上行う業務」を目安としています。常時雇用されていて、午後10時から午前5時までの時間帯に「少しでも」勤務が含まれるのであれば、対象者として扱うのが安全です。

また、妊産婦の本人から請求があった場合、事業者は深夜業をさせることはできません。これは、労働基準法第66条第3項で定められているため、対象者を確認する際は、この点も注意が必要です。

出典:『定期健康診断結果報告(様式第6号)の関係法令(PDF)』厚生労働省 京都労働局

3-2 夜勤だけでなく深夜残業も対象になる場合がある

深夜業の健康診断の対象となるのは、夜勤専従者や交代制勤務者だけではありません。見落とされがちなのが深夜残業です。通常の日勤者であっても、慢性的に午後10時以降の残業が発生している場合は、対象になる可能性があります。

例えば、飲食業や理美容業、物流業、医療介護、エンジニアなど、繁忙期や顧客対応で深夜残業が常態化しやすい業種では特に注意が必要です。「夜勤シフトがないから対象者はゼロ」と早合点せず、勤怠データなどから月単位で深夜時間帯の労働実績を抽出し、対象者を洗い出す運用が望ましいでしょう。

関連記事:『【産業医監修】長時間労働とは?法律の基準・よくある原因と対策、企業事例を解説

3-3 パート・アルバイトも対象になる場合がある

パート・アルバイトであっても、次の2つの要件をいずれも満たす場合は深夜業の健康診断の対象となります。

  1. 雇用期間の定めがない、もしくは契約期間が1年以上(見込も含む)
  2. 週の所定労働時間が正社員の4分の3以上

また、週の所定労働時間が4分の3未満であっても、「1.雇用期間の定めがない、もしくは契約期間が1年以上(見込も含む)」の要件に該当し、同種の業務に勤務する正社員の概ね2分の1である場合は、健康診断の実施が望ましいとされています。健康管理の観点からも、雇用形態を理由に対象から外すのではなく、所定労働時間と深夜業従事頻度の両面から判断するのが良いでしょう。

3-4 深夜業健診の対象外となるケース

月1〜3回程度の臨時的な深夜勤務は、「常時従事」とはいえないため深夜業の健康診断の対象外となります。

ただし、回数の数え方には注意が必要です。深夜業に該当するのは午後10時から午前5時までの時間帯の労働であり、この時間帯にかかる勤務が1回でもあれば、その日は深夜業1回としてカウントします。

例えば、「午前4時45分に出勤して午前10時に退勤」という早朝シフトの場合、午前5時前に出勤しているため、深夜業1回として扱われます。深夜時間帯に「少しでも」勤務がかかっているかどうかで判断する必要がある点に注意が必要です。

4.深夜業の健康診断の実施頻度とタイミング

深夜業の健康診断は、「6ヶ月以内ごとに1回」実施することが義務付けられています。「年2回」と表現されることもありますが、正確には「6ヶ月以内ごとに1回」であり、前回の健診日から6ヶ月を超えない範囲で次回を実施する点に注意してください。

(例)

  • 4月1日に実施した場合:6ヶ月後は10月1日となるため、9月30日までに実施します。
  • 4月12日に実施した場合:6ヶ月後は10月12日となるため、10月11日までに実施します。

実務上、多少の受診遅れが労基署に直ちに問題視されるケースは少ないですが、法令遵守の観点から余裕を持ったスケジュールで健診を実施できるように管理しましょう。

4-1 配置替えの際にも実施する

深夜業を含む業務へ配置替えする際にも、特定業務従事者の健康診断を実施する必要があります。具体的には、日勤から夜勤シフトへの異動、勤務時間変更により深夜業が常態化することになった場合、新たに深夜業のある部署へ異動した場合などが該当します。

こうした人事異動やシフト変更のタイミングでは、深夜業健診の対象者確認の見落としが起きやすい傾向があります。人事担当者が「この異動は配置替え健診の対象になるか」をチェックする運用フローを組み込むと、漏れを防げるでしょう。

4-2 定期健康診断と同時に実施できる場合がある

深夜業の健康診断は、診断項目が定期健康診断とほぼ同一であるため、定期健康診断と同時に実施することも可能です。

ただし、定期健康診断が年1回であるのに対し、深夜業の健康診断は「6ヶ月以内ごとに1回」の実施が必要です。「定期健康診断と一緒に実施したから、次は1年後でよい」と誤解しないよう注意しましょう。

5.深夜業の健康診断の診断項目

深夜業の健康診断の項目は、労働安全衛生規則第44条に定められた定期健康診断と同じ11項目が基本です。具体的には、次の通りです。

  1. 既往歴および業務歴の調査
  2. 自覚症状および他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査
  5. 血圧の測定
  6. 血色素量および赤血球数の検査
  7. 肝機能検査
  8. 血中脂質検査
  9. 血糖検査
  10. 尿中の糖および蛋たん白の有無の検査
  11. 心電図検査

5-1 省略できる項目

一定の条件を満たす場合、深夜業の健康診断は次の通り、一部の項目は省略や代替が認められています。

  1. 胸部エックス線検査および喀痰検査は1年以内ごとに1回の定期実施で可。
  2. 前回の健康診断において、貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査および心電図検査を受け、かつ医師が必要でないと認めるときは、当該項目のみ省略可。また、聴力検査は省略できないが、前回の健康診断においてオージオメーターを使用して検査を実施した場合は医師が認める方法に代えることが可能。
  3. その他の省略基準等については、定期健康診断と同じ。

出典:『労働衛生のハンドブック(PDF)』東京産業保健総合支援センター P.69

ただし、定期健康診断で省略が認められている項目でも、深夜業は健康負荷が大きく、6ヶ月以内ごとの実施という性質上、省略の判断は慎重に行うことが望まれます。

5-2 必要に応じて検討すべき追加検査

深夜業に従事する従業員は、睡眠障害や生活習慣病、メンタルヘルス不調、循環器疾患のリスクなどが問題となることが多くあります。そのため、必要に応じて追加検査や面談を実施することも有効です。例えば、睡眠の質を評価する問診票、メンタルヘルスチェック、生活習慣に関する保健指導などが考えられます。

追加項目を決める際は、産業医や産業保健師と相談したうえで、自社の業務特性に合った健診設計を行うことを推奨します。同じ深夜業でも、業種によってリスクが異なるため、職場の実態に即した項目選定が、健康管理の質を高めるでしょう。

また、健康診断の項目を検討する際は、従業員のメンタルヘルス不調の症状や対策、職場におけるメンタルヘルス支援の概要もあわせて確認しておきましょう。

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6.深夜業の健康診断の実施方法と流れ

深夜業の健康診断は、受診させるだけでなく、その後の対応まで含めて運用することが重要です。ここでは、対象者確認から実施、事後措置まで、一連の流れを6つのステップで確認します。

6-1 対象者を確認する

まずは、健診実施の1〜2ヶ月前を目安に、対象者リストを作成しましょう。過去6ヶ月分の勤怠データから深夜時間帯の勤務回数を集計し、月4回以上の勤務が継続している労働者を対象者として整理します。配置替えやシフト変更があった従業員も含め、漏れがないよう確認することがポイントです。

このタイミングで前回健診からの経過月数も確認し、6ヶ月を超えそうな対象者を優先的にスケジューリングすると良いでしょう。勤怠管理システムから対象者を自動抽出できる環境を整えておくと、毎回の確認作業が大幅に効率化できます。

6-2 医療機関を手配し、受診案内を行う

対象者リストが固まったら、医療機関を手配します。深夜業の健康診断は法定健診であるため、費用は原則として企業負担です。受診案内では、健診日時・場所・持ち物・問診票の事前記入依頼にくわえ、対象者には受診義務があることも明示しておきましょう。

また、夜勤者が多い職場では、受診しやすい時間帯の設定や、休日受診となる場合の代休・賃金の取り扱いについて、あらかじめ方針を決めておくことが重要です。

なお、健康診断の受診時間に対する賃金支払いについては、一般健康診断では企業判断に委ねられています。ただし、厚生労働省は「円滑な受診を考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」としています。

6-3 健康診断結果を従業員へ通知する

健康診断結果が医療機関から届いたら、労働安全衛生法第66条の6に基づき、遅滞なく従業員本人に通知しなければなりません。結果通知書を直接渡す方法のほか、封書で自宅郵送する方法もありますが、いずれの場合もプライバシー保護に十分配慮してください。

深夜業従事者は、自覚症状がないまま健康状態が悪化しているケースもあります。再検査や精密検査が必要な場合には、早めの受診を促しましょう。

6-4 医師等の意見聴取を行う

異常所見が認められた従業員は、労働安全衛生法第66条の4に基づき、医師等の意見を聴取する義務があります。意見聴取は健診実施日から3ヶ月以内に行う必要があり、産業医がいる事業場では産業医に依頼するのが一般的です。

医師等は、健診結果をもとに、「通常勤務」「就業制限」「要休業」の就業区分ごとの意見を企業に示します。就業上の措置を検討する次のステップへつなげるため、産業医との連携が重要になる場面です。

出典:『労働安全衛生法に基づく健康診断実施後の措置について』厚生労働省 

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6-5 就業上の措置や保健指導を行う

医師の意見を踏まえ、必要に応じて就業上の措置を講じます。深夜業従事者で多い措置の例としては、「深夜業の回数削減」「深夜業の禁止(日勤への配置転換)」「労働時間の短縮」「休暇取得の促進」などがあります。

措置を講じる際は本人の意向も確認し、一方的な配置転換とならないよう注意しましょう。措置の内容と理由を本人にきちんと説明することで、納得感のある運用ができます。

また、深夜業従事者は生活習慣病リスクが高い傾向にあるため、産業保健師による保健指導を組み合わせると効果的です。

6-6 健康診断結果の保管と労働基準監督署への報告を行う

健康診断結果は、「健康診断個人票」に記録したうえで、5年間の保存義務があります。電子データでの保存も認められていますが、その場合は改ざん防止措置や閲覧権限の設定など、個人情報保護に配慮する必要があります。

また、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、労働基準監督署に結果を報告する義務があります。深夜業の健康診断も、定期健康診断と同じ「定期健康診断結果報告書」の様式で提出します。提出期限は、健康診断実施後「遅滞なく」とされています。

7.従業員自ら受ける自発的健康診断とは

「自発的健康診断」とは、深夜業に従事する労働者が、自らの健康に不安を感じた際に労働者自らの意志で受診する健康診断のことです。自発的健康診断を受診した労働者は、労働安全衛生法第66条の2に基づき、その結果を事業者に提出することができます。

企業は、提出された自発的健康診断の結果も、定期健康診断と同様に医師の意見聴取や就業上の措置を講じる義務を負います。なお、自発的健康診断は、あくまで労働者自身の意思による受診であるため、費用は原則として労働者負担です。

従業員が自費で受診し、その結果を提出してきた場合、健康状態に何らかの不安や、会社へ相談したい事情を抱えている可能性があります。提出があった場合は、本人と面談する機会を設けて状況を丁寧に確認しましょう。

8.深夜業の健康診断を実施するときの注意点と企業リスク

深夜業の健康診断での対象者の見落としや事後措置不足は、法令違反だけでなく、従業員の健康被害にもつながる可能性があります。ここでは、実施の際の注意点と企業リスクを解説します。

8-1 対象者を正しく把握して受診漏れを防ぐ

深夜業の健康診断では、対象者の選定ミスが起こりやすい点に注意が必要です。シフト表の見落とし、深夜残業者のカウント漏れ、配置替え後の健診忘れなどが典型例です。

深夜業は単に「不規則な勤務」というだけでなく、生体リズムへの負荷が大きく、長期的な健康影響が懸念される労働形態です。受診漏れは法令違反というだけでなく、本来発見できたはずの健康不調を見逃すことにつながります。

法令上のリスクとしては、未実施が発覚した場合に労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性があり、悪質な場合は前述の50万円以下の罰金が科される可能性もあります。勤怠データやシフト表を定期的に確認し、受診漏れを防ぎましょう。

8-2 健康診断後の事後措置まで対応する

健診を実施しただけで終わってしまい、結果に基づく事後措置が行われていないケースも少なくありません。意見聴取や就業上の措置、保健指導を講じていなければ、安全配慮義務違反に問われる可能性もあります。

深夜業は身体への負荷が大きいため、異常所見がある従業員を放置すると、健康障害の重症化につながるおそれがあります。健診実施はゴールではなく、健康管理のスタート地点と捉えましょう。

8-3 健康診断結果を理由に不利益な取り扱いをしない

健康診断で異常所見があったことを理由とした不利益取扱いは禁止されています。具体的には、深夜業ができないとの医師意見が出たことを理由に、極端なシフト削減や退職勧奨、雇止め、降格、賃金引き下げなどを行うことは違法となります。

もちろん、安全配慮の観点から業務調整が必要な場合はありますが、その際は本人と十分に話し合い、本人の希望と医師の意見を踏まえたうえで合意形成を図ることが大切です。配置転換に伴って労働条件が変わる場合は、就業規則上の根拠を確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。

9.深夜業の健康診断を理解し、自社の健診運用を整えましょう

深夜業の健康診断は、夜勤者だけでなく、慢性的に深夜残業が発生している従業員も対象になる可能性があります。深夜業は睡眠障害・生活習慣病・メンタルヘルス不調などのリスクを高めることが知られており、健康診断の実施だけで終わらせず、事後措置や保健指導まで含めて運用することが、従業員の健康と企業の安全配慮義務の両面で重要です。

【この記事のまとめ】
・深夜業の健康診断は、深夜業に常時従事する労働者を対象に「6ヶ月以内ごとに1回」実施が必要
・対象者の目安は「深夜業を月4回以上(週1回以上)行う労働者」で、雇用形態を問わず勤務実態で判断する
・深夜業に伴う健康リスクを踏まえ、産業医や産業保健師と相談しながら追加検査や保健指導を組み合わせることが有効

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企画・編集:横内さつき
執筆:うちやま社会保険労務士事務所 代表 内山美央 /oneself.産業保健師一同


小橋 正樹

監修小橋 正樹

株式会社oneself. 代表取締役|統括産業医

2010年、産業医科大学医学部を卒業。その後、3年間にわたる救急病院での診療経験を通じ、働く人の健康が大切だと改めて実感。2013年、産業医活動を開始。スタートアップ企業の体制づくりから外資グローバル企業の統括マネジメントまで、合計で30社を超える組織の健康管理に伴走。そのなかで、産業医有資格者数の中でも1%以下の保有率と言われる産業医の専門医・指導医資格などを取得。2019年、本質的な産業保健をより広めるためには企業社会への更なる理解が必須という想いで自ら経営者となることを決意し、株式会社oneself.を設立。2023年、誰もが確かな価値を実感できる産業保健サービスを社会へ届けるため「& oneself.」を提供開始。


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